<婚姻の無効の知識>
2007/12/01 日記<婚姻の無効>
婚姻の無効
婚姻の無効(こんいんのむこう、Annulment)とは結婚が無効であるということを宣言する法的手順のことである。婚姻の無効は、法廷が結婚関係の終わりを認める離婚とは異なり、そもそもその婚姻関係が成り立っていなかったことを示すものである。
日本においてはからに婚姻の無効についての条項がある。
婚姻の無効の法的基礎付け
婚姻の無効が宣言されるための条件は、各国の法体系によって異なり、偽証・重婚・精神的な原因による不能などが一般的な理由とされる。一般的には以下のような理由があげられることが多い。*配偶者が結婚時にすでに別人と結婚している場合(重婚)
日本における婚姻の無効に関する民法
第一項 婚姻は、左の場合に限り、無効とする。
第一号 人違その他の事由によつて当事者間に婚姻をする意思がないとき。
第二号 当事者が婚姻の届出をしないとき。但し、その届出が第七百三十九条第二項「届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上から、口頭又は署名した書面で、これをしなければならない。」に掲げる条件を欠くだけであるときは、婚姻は、これがために、その効力を妨げられることがない。*
詐欺又は強迫によつて婚姻をした者は、その婚姻の取消を裁判所に請求することができる。?前項の取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免かれた後三箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。*
男は、満十八歳に、女は、満十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。
乃至養子、その配偶者、直系卑属又はその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、の規定によつて親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。の規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消を裁判所に請求することができる。但し、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。?配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。又は女は、前婚の解消又は取消の日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
?女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。
の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消を請求することができる。
以上の民法上の規定から、どちらか一方に結婚する意思がない場合は無効であり、内縁の関係であっても、相手の同意なしに婚姻届けを出したとしても無効とされる。
カトリック教会における婚姻の無効
カトリック教会では伝統的に信徒の婚姻関係は神の前で結ぶものであり、それを解くこと、すなわち離婚はできないと教えてきた。にも拘わらず、特別な場合に限って婚姻の無効が認められることがあるが、それを「離婚」とみなしているわけではない。カトリック教会が婚姻の永遠性をうたい、離婚を認めないとしながら、婚姻の無効を認めていることは実質的な離婚への抜け道になっているという批判もある。とはいってもやはり婚姻の秘跡は離婚とはまったく異質なものである。すなわち、結婚が成立した上でその関係を解消する離婚とは異なり、婚姻の無効は結婚の成立の時点へさかのぼってその是非を問うからである。婚姻の無効を実質的な離婚の手段として濫用することは、カトリック教会における本来の意図から離れたものであるため、婚姻の無効はそう簡単には認められない。
カトリックの信仰に関する権威ある解説書にも「カトリック教会は教会裁判所による厳密な審査のあとで婚姻の無効(婚姻関係そのものが成立していなかったということ)を判断することができる。その場合、婚姻の無効が成立した二人は自由に結婚することができる。」(カトリック教会のカテキズム1629条)とあるように、婚姻の無効に関する規定の本来の意図は、カトリック教会が婚姻を(旧約聖書にあるように)神の前で「男女が一体になる」ものであることを示すものである。カトリック教会の中でも、この婚姻の無効の成立によってその夫婦の間に生まれた子供が正式な子供と認められなくなるのではないかと危惧するものもあるが、教会法1137条は婚姻の無効が成立した場合でもその子供は正式な婚姻の下に生まれたものとして認められるとしている。カトリック教会においての婚姻の無効の認定は、法的な離婚とは別種のものである。とはいっても教会が婚姻の無効を認めるほどのケースであれば、法的にも離婚が成立し、事実上離婚している場合がほとんどである。もし結婚しようとする者に、かつて結婚した事実を示すものがあるなら、カトリック教会ではその婚姻の無効が認められない限り結婚式をあげることができない。それはどちらかがカトリック教会でないところで結婚していた場合でもそうである。カトリック教会では、洗礼を受けた者同士が自由意志によって婚姻の関係を結んだ場合、決して解消することができないとみなしている。
統一教会の合同結婚式をめぐる婚姻無効訴訟
世界基督教統一神霊協会|統一教会(統一協会、世界基督教統一神霊協会)における「合同結婚式は教祖である文鮮明が夫婦となるカップルを組み合わせるものであるが、式に参加し、入籍した後に離教した多数の元信者が婚姻の解消を求める訴訟を起こした。統一教会は信者が心変わりするのを防ぐため、反対する親族によって信者が連れ去られた場合、法的に夫や妻であることで、人身保護請求をしやすくするため、また、信者(特に女性)が海外の宣教に行く際に、「長期ビザ」が取得しやすくするなどの理由から、まだ実際に同居生活を始める前から信者に入籍を指示することが多い。これまで多くの婚姻の無効を求める訴訟が起こされたが、離教した元信者の「婚姻の意思の不在」などを理由に、そのほとんどが認められている。1996年4月25日の最高裁判所|最高裁で婚姻の無効を認めた下級審での判決が初めて確定した。2005年3月1日現在、元信者による婚姻の無効の確認を求める裁判において、約50件程がその主張通り認められている。
ニューヨーク州における婚姻の無効
アメリカ合衆国、ニューヨーク州においても婚姻の無効が認められるが、その理由はほとんどが婚姻における偽証である。ここでの「偽証」とは被告が原告に対し、結婚を目的に意図的な偽証をすることを指している。そして偽証は本質的な部分に関わるものであり、被告の偽りの証言によって原告が結婚を決意したこと認められることが必要である。結婚に先立って行われた「偽証」および結婚後のその偽証が明らかになったということの証明として(たとえ被告が自ら認めた場合であっても)証人や客観的な証拠が必要となる。婚姻の無効の訴えが認められるのは婚姻の日時から数えてではなく、婚姻における偽証が明らかになってからの三年間までである。ニューヨーク州において、婚姻の無効が認められるその他の条件として以下のようなものが挙げられる。*婚姻の未完成(夫婦間での性交渉がないこと)
歴史における婚姻の無効の例
歴史上でもいくつかの婚姻の無効をめぐる有名なケースが知られている。例えば、15世紀のフランス王ルイ12世 (フランス王)|ルイ12世は、ルイ11世 (フランス王)|ルイ11世の娘ジャンヌと結婚していたが、シャルル8世 (フランス王)|シャルル8世が男系後継者なしで死亡したことで王位に就いた。ルイ12世はブルターニュ公領を望み、シャルル8世の妻であったフランス王妃アンヌ (ブルターニュ女公)|アンヌ(ブルターニュ公領相続人)と結婚するため、ジャンヌとの婚姻の無効を申請している。この許可を得るため、時のローマ教皇アレクサンデル6世 (ローマ教皇)|アレクサンデル6世に多くの好条件を申し出た。(たとえば教皇の庶子チェーザレ・ボルジアにヴァランス公位を授け、フランス王族と婚姻させること、さらにローマの守備隊を提供するなど)。このような贈賄により望みどおり婚姻の無効の認定を得ることに成功している。また イングランドのヘンリー8世 (イングランド王)|ヘンリー8世は生涯6度結婚したが、そのうち4度の結婚の婚姻を無効にしている。最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴンについては、「ヘンリー8世の兄アーサーの妻であったため、自分との結婚は重婚にあたる」として婚姻の無効を時のローマ教皇クレメンス7世_(ローマ教皇)|クレメンス7世に申請した。しかしキャサリンの甥にあたる神聖ローマ皇帝カール5世_(神聖ローマ皇帝)|カール5世の横槍が入ったため認められなかった。怒ったヘンリー8世はローマ教皇と絶縁し、その後イングランド国教会|英国国教会が成立する端緒となった。こうしてローマ教皇庁の干渉を廃し、英国の教会を意のままに動かせるようになったことで、ヘンリー8世は教会にしか認められない婚姻の無効の認定を自由に受けられるようになった。以後、アン・ブーリン(後に処刑)、キャサリン・ハワード(後に処刑)、アン・オブ・クレーヴズについてそれぞれ婚姻の無効を理由に離婚・再婚を繰り返した。
民法での規定
第742条により次の場合無効となる。
関連項目
註
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◆婚姻の無効についてピックアップ 歴史上でもいくつかの婚姻の無効をめぐる有名なケースが知られている。例えば、15世紀のフランス王ルイ12世 (フランス王)|ルイ12世は、ルイ11世 (フランス王)|ルイ11世の娘ジャンヌと結婚していたが、シャルル8世 (フランス王)|シャルル8世が男系後継者なしで死亡したことで王位に就いた。ルイ12世はブルターニュ公領を望み、シャルル8世の妻であったフランス... |


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