<晩婚化の知識>
2007/11/25 日記<晩婚化>
晩婚化
晩婚化(ばんこんか)とは、世間一般の平均初婚年齢が以前と比べて高くなる傾向を指す言葉である。高年齢で結婚をすること、俗に「婚期を過ぎてから結婚する」ことを指して晩婚と言うが、その「婚期」についての社会通念も変化してきた。また、これによって少子化という問題も起きている。
世界的な傾向
晩婚化は先進国だけでなく途上国でも確認されており、世界的な現象となっている。国連が世界192カ国を対象に、1970年代と1990年代で結婚等がどのように変化したかを調査した報告書によれば
:*「1970年代と90年代を比べると、世界の平均初婚年齢は2年近く遅くなり」
:*「晩婚化は7割以上の国でみられ、平均初婚年齢は男性が25.4歳から27.2歳に、女性は21.5歳から23.2歳に上昇した。上昇幅は先進国の方が大きいが、途上国でもアルジェリア、スーダン、マレーシアのように3歳以上上昇した国があった」2005年1月26日付配信 日経新聞
となっている。第二次世界大戦以前の社会においては、10代で結婚して所帯を形成することはごく自然な行為であり、全体にも平均初婚年齢は20歳前後に留まる時代が長かった。
これは進学率が低かったこと、及び低年齢から社会に出て手に職を付けることが当たり前でありかつ効率的であったことが理由の一つとして挙げられる。特に女子は長い間、進学せずに家事に就くことが当然と見なす社会的圧力に晒されていたため、進学や就職をせず親の縁談で伴侶を見つけて嫁ぐことも多かったので、女子の平均初婚年齢は10代後半で長く推移した。大戦後、特に先進国において義務教育以上の就学過程(特に大学)への進学率が高くなると、平均初婚年齢は次第に20代へとシフトし始めた。この傾向は、高学歴を必要とする専門知識が求められる職種の増加、学歴重視の雇用者意識、女性の社会参加、看護・福祉のような女性が中心的な労働力を占める職種の社会的地位の向上、女性の経済的な自立と就業意欲の高まりなどを背景として、年々加速した(ただし女性の経済的な自立については異論も多い。次項参照)。他に、女性はほとんどの文化では男性と比べ不利益を被っているが、その不利益は結婚するとますます大きくなると言われている『論争・少子化日本』(中公新書)P38ことも、晩婚化の要因の一つとなっている。
アメリカ合衆国の状況
女性が強いと信じられているアメリカ合衆国においても、既婚男性の満足度は独身男性より高い一方で、女性の場合はその逆となり、さらに独身女性の方が既婚女性よりも長生きをするという調査結果がある『論争・少子化日本』(中公新書)P38。
『女は結婚すべきではない』の著者のシンシア・S・スミスは、「現代の男性が結婚すると、家を手に入れ、家の世話をしてくれる家政婦と料理人、陽気な家族を得て、それにもう一人分の収入がプラスされる。だが女性が結婚すると増えるのは下宿人」であると、アメリカの結婚事情が女性に厳しいことを指摘している『論争・少子化日本』(中公新書)P39。
日本国内での意識
日本では現在、結婚しても良い年齢は男子18歳・女子16歳と定められている。しかし、日本国内では高等学校|高校へ進学する人の割合が1学年あたり90%台に達してから既に長く、結婚して所帯を作ろうと考える年齢は男女ともに18歳を下回ることはほとんど無い。また近年の物価高を反映し、所帯を持つための財産形成のために、就労してからもしくは結婚相手を見つけてから実際に結婚するまでの敷居を高く取ろうと考える意識も一部には見られる。*個人主義の浸透
一方、個人主義の観点から、当人にとっても周囲についても、独身でいつづけることに対する社会的な抵抗(俗には「世間体」と呼ばれる)が昔に比べて格段に低くなっている。このため、就労して獲得した時間的・金銭的な余裕をもっと自分個人のために使い充足感を得ようと、より長く独身時代に留まろうとする者も多く、以前はそれらの人々を指して「独身貴族」と揶揄することがあった。現在では死語となりつつあるものの、反面、高学歴化に伴う就労年齢の高年齢化によって、独身貴族たちの増加による晩婚化の傾向には拍車がかかっている。昨今では、男女とも30代になっても独身を続けようと考えることに対する抵抗感は、彼らが前線に出て働いているオフィス街などでは特に、ほとんど見られなくなっている。*需給のミスマッチ
また、男女とも、お互いを結婚相手としてみなせない、という意識もある。現在の日本では女性が経済力を付ける一方、子育てのサポートが十分ではないために、女性の多くには子どもを産むと仕事を辞めざるを得ず、男性の収入を当てにする上方婚志向(収入・年齢・階層の高い者との結婚を希望する)が根強い。男性からすれば「給料は頭打ちなのに、女性は金がかかる。子ができればなおさら。」女性からは「今の日本の社会で女性が自立して生きるのは不安。(子どもを産むために)早く結婚したいが、(女性の上方婚志向を満たす)いい男性がいない。」という、意識のミスマッチも、原因だと考えられている。また、グローバルな競争に晒され、不安定な世の中で、社会人となった男女が「男らしさ」「女らしさ」を喪失しつつある状況で、相手には以前にも増して「男らしさ(経済力や包容力)」「女らしさ(やさしさや癒し)」を求めるという矛盾が需給のミスマッチをさらに促進しているといえる。*女性の家事・育児負担
日本では労働時間が長く、男女の役割分担意識が強いため、出産・育児に対する女性の負担が非常に大きいとされる。共働き世帯の夫が費やす家事労働時間は一日平均20分で、専業主婦の夫の27分よりも少ない。この結果は「女性が働くことには反対しないが、家事と育児は妻の責任」という男性の身勝手さと、フルタイムで働くとすれば育児に参加することが困難になるという、日本企業の現状が表れており、働く既婚女性の出生率は低く、女性がキャリアと出産・育児のすべてを望むとすれば自殺行為に等しい現実がある『論争・少子化日本』(中公新書)P43。ただし、近年の女性には、夫にフルタイム労働をさせつつ、家事と育児をも負担させようとする専業主婦もおり、このような『日本女性=被害者』という見方自体が一方的であるとする反論もある。*平均初婚年齢
21世紀初頭においては、日本国民の女性の平均初婚年齢は20歳代後半に達しており、男性についてはさらに1歳以上高い。第一子出生時の母親の平均年齢については、平均初婚年齢の約1年後という計算になる統計が出ている。ただし日本人においては、生涯に渡って独身を続けることを希望する割合は、欧米に比べて低いことにも留意する必要がある。よって日本の場合、若者が早い時期に結婚できる社会的環境を整えることで、晩婚化は防ぐことが可能と考えられている。ただし日本では、男性が独身を希望している場合には「実は結婚を希望しているが出来ない」とカテゴライズされることが多い(こうした見方は男性差別であるとの指摘もある)ため、独身を希望する者の割合が欧米より低く算出されやすいことにも留意すべきである(もっとも、女性が結婚を希望しながら独身でいる場合には「結婚を希望しない自立した女性」とカテゴライズされやすいため、性別を区別しなければ両者の割合は相殺しあっているとの見方もある)。また、2005年の調査で2000年に「結婚しない」と回答した30歳世代が、5年後にそれほど減っていなかったという結果があり、未婚化・非婚化は確実に進行していることが伺える。
晩婚化の影響
高い年齢での結婚は、金銭的余裕などのメリットがある一方で、妊娠しにくく・させにくくなるリスク(例えば、中高年男性の精子は、若い男性の精子に比較してデオキシリボ核酸|DNAの損傷が激しく、子供を持つ可能性が低下することが近年明らかになっており、被験者2,100人を対象とした研究では、45歳を超える男性の精子DNAの損傷は、それ以下の年齢グループに比較して有意に高く、30歳未満の男性との比較では2倍であったと報告されている2005年コペンハーゲンで開かれた欧州ヒト生殖学会議(ESHRE)での報告)、育児に関して子どもの年齢に比べ親である夫婦の退職年齢が早く来てしまうことなどの構造的な困難などのデメリットが考えられる。また、長く独身でいる人に多く見られるように、結婚してからも自分個人または伴侶との共同生活を重視して子供を作らない夫婦も多く存在し、1980年代頃から社会的な潮流として注目を集め DINKS (Double Income No Kids) という呼び方で知られるようになった。
対策
結婚しない人、できない人が増加しているなか、さまざまな対策を考える政府や自治体もある。日本の場合、一部の自治体(奈良県など)では、自治体自身が音頭を取って(正確には結婚相談所を生業とする企業に委託してだが)男女の出会いの場を設けるといったことを行っている。また、地方の商工会議所でも、会員に呼びかけて出会いのイベントを行っているところがある。このようなイベントは参加できる人がある程度限られるものの、営利を目的とせず、参加しやすいように工夫されている。海外でも同様の対策が取られているところもある。脚注
関連項目
外部リンク
リクルート「ゼクシィ結婚総合意識調査2006」
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◆晩婚化についてピックアップ 対策結婚しない人、できない人が増加しているなか、さまざまな対策を考える政府や自治体もある。日本の場合、一部の自治体(奈良県など)では、自治体自身が音頭を取って(正確には結婚相談所を生業とする企業に委託してだが)男女の出会いの場を設けるといったことを行っている。また、地方の商工会議所でも、会員に呼びかけて出会いのイベントを行っているところがある。このようなイベ... |